ファンモータ用長寿命電食(※1)防止軸受の開発
株式会社ジェイテクトは、ファンモータ用に使用される長寿命電食防止軸受を開発し、量産納入を開始しました。
近年、ファンモータの要求性能として低騒音・長寿命化があります。ファンモータは冷却装置・換気装置として様々な機器に使用されており、使用環境改善のために24時間運転される場合が多くなっています。従って、ファンモータ用軸受の使用環境は厳しく、グリース劣化、電食により音響寿命に達するケースが増加しております。又、軸受の損傷はファンモータの寿命を短くするばかりでなく、装置自身の損傷にも繋がります。
ジェイテクトは、これらの問題を解決するために、長寿命電食防止軸受を開発し、雰囲気温度60℃でのファンモータ寿命100,000時間以上の長寿命化を達成しました。
開発品の特長
■ 転動体材質にセラミックス(※2)を使用
転動体にセラミックスを使用することにより、グリースの長寿命化と電食防止を実現
■ 極軽接触・耐熱ゴムシールを使用
シールリップ形状を最適化し、ゴムシールと内輪の接触を極軽接触とし、低トルク化を実現
ゴム材質は、耐熱温度Max.140℃とし、高温対応を実現
■ 新開発長寿命グリースを使用
基油(エステル油+エーテル油)と増ちょう剤(リチウム石けん)の適合配合により、グリースの長寿命化を実現 | (※1)電 食 … | 軸受の損傷形態の1つで、モータ回転時に軸受の内外輪間に電位差が発生し、内外輪転走面と転動体の間で、グリースの油膜を介して電流が流れることにより、軸受内部が損傷し、音響寿命に至る現象。 | |
(※2)セラミックス … | セラミックス(窒化ケイ素材料)を用いたセラミック軸受は株式会社 東芝殿と共同開発に着手し、1984年当社が世界で初めて実用化に成功。 セラミックスは、絶縁、耐熱性、耐食性、軽量、非磁性などの優れた特性がある。 転動体材質をセラミックスにすることで、内外輪転走面と転動体の間に電流が流れることを防止することが出来る為、電食防止として非常に効果がある。 |