トルク感応型LSD(トルセン)の摩擦制御技術の開発が
平成25年度近畿地方発明表彰で
「文部科学大臣発明奨励賞」と「実施功績賞」を受賞
株式会社ジェイテクトは、トルク感応型LSD(Limited Slip Differential)であるトルセン(※1)の摩擦制御技術の開発において、平成25年度近畿地方発明表彰で「文部科学大臣発明奨励賞」と「実施功績賞」を受賞しました。
トルセンは、特殊なギヤ構造により、自動車の前後輪や左右輪へのトルク配分を走行条件に応じて瞬時に最適化するトルク感応型駆動力配分装置で、様々な車両に搭載されています。
近年、自動車の安全性や走行安定性の向上を求める市場ニーズより、世界的に四輪駆動車の重要性が再認識されつつあります。合わせて高い静粛性も求められています。
開発した摩擦制御技術は、トライボロジー技術を核とした技術開発であり、トルセンの信頼性および静粛性が向上し、トライボロジーを基盤とする自動車部品の新技術として画期的であり、今後の発展に大いに期待できることが認められ、今回の受賞となりました。
トルセンの摩擦制御技術と効果
① 独自の摩擦特性の理論解析と加工方法により、プラネタリギヤのしゅう動面の面粗さ(凹凸形状)を最適化。
② 凹凸形状を最適設計したプラネタリギヤ外周部に、WC(TungstenCarbide)とDLC(Diamond-Like Carbon)のナノ多層膜をコーティング。
③ 同システムの摩擦特性に及ぼす潤滑油及び潤滑油添加剤の影響について、WC/DLCナノ多層膜しゅう動面に形成される強固な有機吸着膜が、低すべり速度条件において固体同士の接触を防止することで良好な摩擦特性が発現することを解明。
以上のトライボロジー技術によって、トルセンの耐振性能と耐摩耗性、耐焼付き性を大幅に向上し、画期的な車両の静粛性を確保しつつ、低燃費化と安全性を実現しました。本開発製品は実用化されており、ハイブリッド四輪駆動車などに採用されています。
※1)トルセンは株式会社ジェイテクトの登録商標です。