横形マシニングセンタ FH630SX-iに新機能を追加
株式会社ジェイテクトは、昨年開発した横形マシニングセンタFH630SX-i用に以下新機能を2種類開発し、10月30日~11月4日に東京ビックサイトで開催する第27回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2014)で、実機へ搭載し出展いたします。
1.リアルタイム熱変位補正機能
世界初:特許出願中
1.開発の背景
様々な金属部品加工では、工場内の温度変化や加工熱などによる機械の熱変位により加工精度に 大きな影響を及ぼします。そのためお客様は、機械の暖機運転や空調で工場内の温度を安定させるなど、加工精度に影響が出ないように対処するとともに、加工精度に影響が出た場合、手直しや補正加工を追加で行っています。今回開発したリアルタイム熱変位補正機能は、機械本体とシステムにより熱変位を画期的に低減し、お客様の困りごとである長時間加工での加工精度変化を解決し、モノづくりのグローバル展開においても安心・安定した設備提供を可能とする機能として開発いたしました。
2.リアルタイム熱変位補正機能の概要
・当社独自の高速演算プログラム、熱変位推定ロジック、位置制御ロジックを開発
・機械各部の実温度データと機械の3Dモデルを基に熱変形をCNC内部で解析
・リアルタイムに工具先端変位を算出し、位置を制御
・室温20℃変化で、加工誤差最大8.5μmを実現 (市場の1/2レベル)
3.リアルタイム熱変位補正機能による効果
・空調設備のない環境下でも安定した加工精度
・長時間加工ワークにおける熱変位の抑制
・暖機運転レスでの加工開始が可能
4.低熱変位プラットフォームの採用
・CAE解析を活用したコラム部の熱容量バランスを考えた最適化設計により、長時間
加工や大きな室温変化でも加工精度を維持
・従来機に比べ、機械全体のZ軸方向の変位を約30%抑制(室温20℃変化時)
2.対話プログラミングシステム『 TAPROS-i』
1.開発の背景
マシニングセンタのNCプログラム作成は、図面を基にプログラム言語を使い作成しま
す。プログラム作成では、加工に関わる工具情報、工具の回転数、送り速度など加工
条件の設定する必要があり作成に時間を要しています。また、作成者のレベルによっ
て加工プログラムの内容に差が生じてしまうという問題があります。今回開発した対
話プログラミングシステムTAPROS-iは、高品質の加工プログラムを誰でも単純操作
で簡単に作成できる対話プログラミングをコンセプトに、NCプログラミングの画期的
な効率向上を目的とし開発しました。
2.TAPROS-iの特長
①操作ガイダンス機能
・基本5ステップ
プログラム作成が下記5ステップで簡単に作成
・視認性・操作性の向上
操作画面で、次動作の色指示、操作指示ガイドメッセージの表示、対象項目の色表
示により、わかりやすく簡単な操作を実現
②案内図サポート機能
工程設定画面で案内図を表示し、直感操作で設定が可能
③使用工具・切削条件自動選択機能
・工具自動選択
データ設定後、自動を選択すると条件にあった工具を自動選択
・切削条件自動選択
ワーク材質情報データベースより使用工具に合った最適切削条件を自動選択
・生産支援機能(工具チェック機能) 【当社オリジナル】
工具管理システムOPサポータと連携し、不足工具を通知
選択工具の寿命状態をチェックすることで、加工開始前に工具交換が可能
④効率化プログラムの自動生成機能(サイクルタイム短縮機能【当社オリジナル】)
加工時間・非加工時間の短縮プログラムを自動生成
・主軸立上がりと軸移動の動作ラッププログラム
・ATC最少回数プログラム
・AC機能※指令プログラム
※AC機能:主軸負荷を監視して送り速度を制御する機能
⑤プログラム編集機能
自動生成されたNCプログラムはGコード表示されるため、お客様固有のノウハウを
任意に追加・編集が可能
3.システム構成(①は新台のみ搭載可能)
①オンマシンタイプ:マシンの操作画面でプログラム作成ができ、即加工が可能
②オフマシンタイプ:ノートパソコンで複数マシンのプログラム作成が可能
3.販売目標、販売価格
1.販売目標
年間 120台
2.販売価格
49,500千円
(FH630SX-i標準本体+リアルタイム熱変位補正機能+TAPROS-i
オンマシンタイプ搭載)