トルク感応型LSD(トルセン)の摩擦制御技術の発明が
平成26年度全国発明表彰で「発明賞」を受賞
株式会社ジェイテクトは、トルク感応型LSD(Limited Slip Differential)であるトルセン(※1)の摩擦制御技術の発明において、平成26年度全国発明表彰で「発明賞」を受賞しました。
トルセンは、特殊なギヤ構造により、自動車の前後輪や左右輪へのトルク配分を走行条件に応じて瞬時に最適化するトルク感応型駆動力配分装置です。
近年、自動車の安全性や走行安定性の向上を求められる中で、世界的に四輪駆動車の重要性が再認識されており、中でもハイブリッド四輪駆動乗用車においては、高い静粛性も必要とされます。
本発明は、ハイブリッド四輪駆動乗用車において、歯車式トルク感応型差動制御装置の適用に不可欠な耐振性能を向上させる摩擦制御技術です。静粛性を確保しながら、前後輪のスリップを抑制し、雨や雪など路面が滑りやすい状況でも、エンジンおよびモータのパワーを余すことなく路面へ伝達する優れた走行性能を実現しており、自動車部品の新技術として画期的であり、今後の発展に大いに期待できることが評価され、受賞となりました。
※本発明を適用した製品は実用化されており、ハイブリッド四輪駆動車を中心に採用されています。
(1)受賞対象
① 遊星式歯車式トルク感応型LSDの制振技術として、プラネタリギヤ外周部に適切な粗
さ(凹凸形状)を付与することで耐振性能が向上することを、明らかにしました。
② プラネタリギヤ外周部およびハウジングボア面の粗さをモデル化した混合潤滑解析に
より、実機のμ-V特性(摩擦係数とすべり速度との関係)に与える粗さの影響を明ら
かにしました。
③ 適切な粗さ(凹凸形状)を付与したプラネタリギヤ外周部に、
WC(Tungsten Carbide/ Wolfram Carbide)とDLC(Diamond-Like Carbon)の
ナノ多層膜をコーティングに採用、および摩擦面積の最適化により、耐摩耗性能およ
び耐焼き付き性能を確保できることを明らかにしました。
(2)受賞者
・安藤 淳二(あんどう じゅんじ)
・酒井 直行(さかい なおゆき)
・齋藤 秀幸(さいとう ひでゆき)
・山下 洋三(やました ようぞう)
※1)トルセンは株式会社ジェイテクトの登録商標です。