「光ピンセットによる粘度計測技術の研究~ミクロ領域の粘度~」が2017年度日本トライボロジー学会奨励賞を受賞
株式会社ジェイテクトの「光ピンセットによる粘度計測技術の研究~ミクロ領域の粘度~」が、一般社団法人日本トライボロジー学会の2017年度日本トライボロジー学会奨励賞を受賞しました。この賞はトライボロジー分野の学術・技術の発展を奨励することを目的に優れた研究成果をあげた若手会員個人に贈られる賞です。
■受賞者
株式会社ジェイテクト 研究開発本部 解析技術研究部 計測技術研究室(受賞時点)
南里 浩太(なんり こうた)
■研究背景
計測技術の研究開発において、非接触・非破壊の光レーザーを利用した技術は重要です。その課題として、一般的な粘度計測器ではミリメートルオーダーのマクロ領域でしか測定できないことが挙げられ、ミクロ領域での流体抵抗や粘度計測が可能な技術開発が求められています。そこでミクロ領域での計測技術として光ピンセットに着目しました。
光ピンセットは、レーザーの光圧力を利用し非接触で微小物体をトラップする技術であり、生物や医療分野などでマニュピレーション装置として利用され、工学分野でも、微小物体周辺の物理量計測などに応用できると考えました。
本研究では、光ピンセットによる応用として、水溶液中での微粒子移動における粘度計測を試み、通常の粘度計測器では測定困難なミクロ領域の粘度計測システムを開発しました。マクロ領域において特徴的な粘度変化を示すアルコール水溶液のミクロ領域の粘度や超低レイノルズ数領域の抗力係数の検証によって、これまで計測できなかった領域の物理量を把握することができました。
これまでの研究開発によって、光ピンセットによる微粒子のトラップ、マニュピレーション技術の活用、微粒子の水溶液中での粘度計測に必要なレーザー安定操作領域を確認できました。今後は、光技術の応用、ミクロ領域の計測技術を確立し、当社製品の性能向上につなげていきます。