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好循環のきっかけは「本気の対話」

青枝の主将就任を契機に、思考する姿勢と対話をより重視するようになって3季目の今年。チームは上昇気流に乗っている。7月に開催された全日本実業団選手権では、2018年以来となる3位入賞を果たした。

新体制発足当初、試合後のミーティングで選手全員に発言を求めることから始まったチームは「18歳の新人からベテランまで、いつでも誰もが気兼ねなく意見を言い合えるようになった」と青枝。組織づくりで心がけたのは「誰が相手でもとにかくちゃんと話を聞くこと。聞き取りの中で真剣な要望が出てきたら、しっかりと監督に相談して本気で実現可能性を探ること」だったという。

工場内の練習場におけるトレーニング器具やバッティングケージの新調も、若手の話や希望を真摯に聞き取り、森田とともに会社に必要性を訴えた成果の一例だ。

メンバーから出た要望や新たなアイデアをもとにした改善はハード面に限らない。若手選手の発案で大きく手を加えたのが、試合動画の分析方法だった。それまでのハンディカム本体を選手間で手渡しして各自で動画を確認するやり方を見直し、YouTubeの動画限定公開機能を活用。LINEのグループチャットで試合動画のURLを共有し、思い思いに動画中のプレーに対する意見を投稿する形式を採用したことで、選手間の助言や相手チームの特徴分析がより効率的に行えるようになった。

「もちろん聞き取った要望は吟味するし、すべてを叶えられるわけではない。その中でも『自分たちの意見がちゃんと形になるんだ』という経験をさせてあげられたからこそ、より積極的に意見を言おうという好循環を生むことができたんだと思う」。森田と青枝は頷き合う。

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主将就任後のチームづくりを振り返る青枝

若手のアイデアが「開花」のきっかけに

前述した若手から出たアイデアの採用は、年長選手にも好影響を与えている。

青枝の一学年先輩にあたる三好は「LINEで試合動画を共有するようになって、自分の打撃に対するアドバイスも聞きやすくなったし、文字に残ることでより理解しやすくなった」と感謝を語った。

三好は身長182cm、体重100kg超という恵まれた体躯を誇る。チーム随一のパワーと肩の強さを持ちながら、一昨年まではレギュラーになりきれない日々が続いていた。

積年の課題は打撃時のミートの精度だった。「自分がどういうスイングでどんな打撃をしているのか、本当の意味では理解できていなかった」と振り返るパワーヒッターは、仲間の協力をもとに動画研究の精度を上げることでミート力が向上。昨季からレギュラーに定着し、今年の実業団選手権準決勝では、優勝したHonda(栃木)を相手に本塁打を放つ活躍も見せている。

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打撃練習で長打を放つ三好

先駆者の思い…「『プロ』になる瞬間、体感させたい」

青枝と三好が「試合に勝てば自信がより深まり、負けても反省をしっかりすれば伸びると思える」と語る良好な雰囲気の中、チームは確かな成長曲線を描いている。掲げる最終目標は日本リーグ優勝による日本一だ。

だが、その過程でまず越えなければいけない高い壁がある。 「リーグの上位5チームが進出する決勝トーナメントに勝ち残ることが当面の大きな目標。そこからは、有料で観客を入れる試合になる」。

森田の言葉に熱がこもる。

「お金を払ってでもプレーを見たい、という思いで集まった観客の前で試合をする時。その瞬間だけ、選手たちは『プロ』になれるんです」。

2023年で60周年を迎えたソフトボール部史上、前身の光洋精工時代を含めても、チームが決勝トーナメント進出を果たしたことはない。ジェイテクトでその独特の雰囲気を知るのは、2010年から6年間強豪の平林金属(岡山市)に在籍した経験を持つ森田だけだ。 森田は平林金属で主力投手として計8度の日本一に輝きながら、高校卒業までを過ごした徳島でのプレーを望み2016年にジェイテクトに入社。2020年から選手兼監督を務める中で、「あの景色を、雰囲気を選手たちに体感してもらいたい」という思いは年々強くなっている。

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守備練習でノックを打つ森田

認知度向上へ…「活躍で恩返しを」

選手たちも鼻息荒く、向上心を隠さない。

青枝は「何事にもプロフェッショナルでありたい。チームが活躍すれば、職場でも話題にしてくれる。それがすごくうれしい。まずは徳島県内から『ジェイテクトと言えば、ソフトボール』と皆が思ってくれるくらい認知度を上げていきたい」。

三好も「ソフトをやらせてもらっている以上、遠征でどうしても業務から抜けなければいけないタイミングがある。だからこそ、ソフトでも業務でも人一倍会社に貢献できる人材でありたい」と決意を語った。

9月16日からは、森田が「現状の自分たちの技量を測る試金石」と語る全日本総合選手権が滋賀県で始まる。

「ぜひ、試合を見に来てください」。

てらいのない青枝の言葉には、アスリートとして、ジェイテクト社員として胸を張って生きる誇りが透けて見えた。

(文中、敬称略)

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全日本総合選手権での躍進を誓う選手たち

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