コーポレート・ガバナンス
基本的な考え方
ジェイテクトは、企業の社会的責任を果たし、企業価値を持続的に向上させるため、コーポレート・ガバナンスの継続的な充実に取り組んでいます。
推進体制
当社は取締役会を毎月開催し、法令または定款で定められた事項のほか、ジェイテクトの基本理念の実現に向けた中期経営計画と、それを達成するための経営戦略(事業計画、人事・組織、資本・投資施策等)について審議・決定するとともに、取締役の職務執行を監督しています。さらに、取締役会の監督機能を強化するため、社外取締役3名のうち独立性を有する社外取締役2名を選任しています。また、取締役会の下部機構として経営役員会、経営会議や全社登録会議を設け、個別事項の審議の充実を図るとともに、業務執行を監督しています。
当社は透明・公正かつ迅速で効率的な経営を担保するため、監査役会設置会社を選択し、社外監査役2名(独立性を有する社外監査役1名)を含む4名の監査役が、取締役の職務執行を監査しています。また、監査役室に専任スタッフを置き、監査役を補助しています。内部監査については、社長直轄の監査部が各機能・事業部門の業務執行及び内部統制の有効性等を監査し、その結果を代表取締役及び監査役に報告することで、監査の独立性を確保しています。会計監査においては、監査役が会計監査人から報告及び説明を受け、監査の方法及び結果の相当性と会計監査人の独立性を確認しています。また、これらの監査の実効性を高めるよう、監査役、会計監査人、監査部は、定期的に協議の場を設けて情報交換を実施し、相互連携を図っています。
コーポレート・ガバナンス体制
取締役会 | 1回/月 | 経営上の重要事項を決定するとともに、取締役の職務執行を監督する。 |
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経営役員会 | 1回/月 | 取締役会を補完し、経営上の重要事項などを審議、基本方針を決定する。 |
経営会議 | 1回/月 | 取締役会を補完し、業務執行における方針の進捗を管理する。加えて、広く役員間で業務執行上の問題点・情報を共有する。 |
監査役(会) | 1回/月 | 取締役の職務執行の監査、会計監査人の監査の方法・結果の相当性の確認を行う。 |
全社登録会議 | - | 下記参照 経営上の重要テーマについて集中的に審議しPDCAサイクルを回す。 |
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ガバナンス強化に向けた歩み
当社はコーポレート・ガバナンスの強化を重要な経営課題と認識しており、「コーポレート・ガバナンス・コード対応ガイドライン」を策定し、毎年PDCAサイクルを回すことで、企業体質の変革と強化にも取り組んでいます。
2019年11月には取締役会への付議事項を見直し、重要度の低い項目の決裁権限を経営役員会に委譲することで、取締役会の審議事項を経営戦略等、より重要な事項の検討に充てることを目的として、「取締役会規則」を改正しました。 また、2020年4月に従来の「執行役員制度」を廃止し、新たに「幹部職制度」を導入しました。これにより、実力のある若手社員の抜擢や、重要ポストへの人材のフレキシブルな登用・離脱が可能になったほか、2021年1月にも役員制度の見直し(① 副社⻑・専務・常務等の取締役の役付き廃⽌、② 経営役員へ呼称統⼀、③ 上記以外への幹部職拡⼤)を行うことで、役員体制のスリム化・フラット化、経営判断のスピードアップ、権限委譲の推進、更なる適材適所・配置判断のスピードアップ、フレキシブルな登⽤と離脱(拡⼤)により、役員数も大幅に削減されました。
主なガバナンス改革の取り組み
年月 | 施策 | 目的 |
---|---|---|
2005年 6月 | 執行役員制度を導入 | 経営の監督と執行機能の分離 |
2006年 5月 | コーポレートガバナンス報告書を発行 | コーポレートガバナンスの主要情報を集約・整理して開示 |
2008年 1月 | グローバル監査部設置 | 管理・手続きの妥当性、遵法性など業務全般の監査 |
2013年 6月 | 外国人役員登用 | 役員の多様性確保 |
2015年 6月 | 社外取締役2名就任 | 経営監視機能の強化 |
2016年 2月 | 役員人事案策定会議設置(代表取締役社長および独立社外取締役で構成) | 役員の人事に関する妥当性を確保 |
2016年 6月 | 役員報酬案策定会議設置(代表取締役社長および独立社外取締役で構成) | 役員の報酬決定に関する公平性・妥当性を確保 |
2017年 3月 | 企業価値向上委員会設置 | 持続性向上に向けた新たな価値創造への議論 |
2017年 10月 | リスクマネジメント部設置 | リスクを組織的に管理し、回避・低減を図る |
2018年 6月 | 社外取締役を1名増員し、3名就任 | 経営監視機能のさらなる強化 |
2019年 6月 | 女性社外監査役登用 | 役員のさらなる多様性確保 |
2019年 11月 | 取締役会規則改正 | 審議事項を絞り込み、取締役会の審議時間をより重要な事項の検討に充てる |
2020年 4月 | 幹部職制度導入 | 若手社員の抜擢や重要ポストへの人材のフレキシブルな登用・離脱が可能に |
2021年 1月 | 役員制度の見直し | ① 副社⻑・専務・常務等の取締役の役付き廃⽌、② 経営役員へ呼称統⼀、③ 上記以外への幹部職拡⼤ |
2022年 6月 | 独立社外取締役を取締役人数の3分の1確保 | 取締役会による独立かつ客観的な経営の監督の実効性を確保 |
2024年 6月 | 女性社外取締役登用 | 役員のさらなる多様性確保 |
グループガバナンス
公正、透明、かつ効率的なグループ経営を行うために、国内外の子会社に対して以下の取り組みを行っています。
- 1.「ジェイテクトの基本理念」、「中期経営計画」等を共有し、経営課題検討会等の場において、経営計画の進捗状況を確認しています。
- 2.「事前協議・報告制度規準」に基づき、重要事項については事前の協議あるいは事後の報告を求めています。グループ経営上の重要事項については、当社の会議体において審議・決定しています。
- 3.「JTEKTグループ経営管理ガイドライン」を展開し、内部統制システムの整備を求めています。
また、財務、安全、品質、環境、災害等の重大なリスクについては、速やかに報告することを求めています。 - 4.「グローバル・コンダクト・ガイドライン」に基づき、コンプライアンス等に関する体制の整備を求めています。
また、当社が提示する点検表に基づき、定期的に「コンプライアンス点検」を実施しています。
社外役員
ジェイテクトは「取締役選任に関する方針」に基づき人格、見識・知見に優れ、高い倫理観を有し、会社法の要件を満たし、当社の定める「社外取締役の役割責務」を果たせる人物で、且つ、出身の各分野における実績と見識を有する人物を社外取締役として選任しています。
また、中立的・客観的視点での監査の実施という観点から、社外監査役を選任しています。
社外役員の選任理由と実績
役職 | 氏名 | 選任の主な理由となった実績・見識等 | 独立役員 | 2023年度の出席状況 (回/回) |
|
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取締役会 | 監査役会 | ||||
取締役 | 熊倉 和生 | 製造業の経営者としてのモノづくりに関わる豊富な経験と高い見識 | - | 10/10 (2023年6月就任) |
- |
取締役 (新任) |
池田 育嗣 | 製造業の経営者としての豊富な経験と企業統治に関する幅広い見識 | ○ | - | - |
取締役 (新任) |
櫻井 由美子 | 公認会計士としての財務および会計に関する相当程度の知見 | ○ | 12/12 | 13/13 (2024年6月まで監査役) |
監査役 | 松井 靖 | 製造業の経営者としての豊富な経験と企業統治に関する幅広い見識 | - | 12/12 | 13/13 |
監査役 (新任) |
宮川 明子 | 公認会計士としての財務および会計に関する相当程度の知見 | 〇 | - | - |
社外役員に対する情報提供
当社では、取締役会前日に「社外役員連絡会」を実施し、一堂に会した社外取締役・社外監査役に資料配布及び審議事項に関する説明を行い、社外役員間で相互に意見交換出来る場を設け、取締役会での決議・報告事項に積極的に関与できる環境を整えています。同連絡会では、審議事項以外の経営テーマについても情報共有を図り、検討中の新規事業等についても、ご意見を頂いております。
取締役・監査役候補者の指名
当社は、任意の委員会として代表取締役社長及び独立社外取締役で構成する「役員人事案策定会議」を設置し、取締役・監査役候補の指名及び経営役員・幹部職の選解任に関する検討の客観性を高めております。
取締役のスキルマトリックス

取締役・監査役の報酬
取締役(社外取締役を除く)の報酬は下図のとおりです。
支給方法 | 金銭報酬 | 株式報酬(譲渡制限付) | |
---|---|---|---|
報酬の種類 | 固定報酬(月額報酬) | 業績連動報酬 | 業績連動報酬 |
支給割合 (基準額換算) |
70% | 20% | 10% |
報酬枠 (年額) |
800百万円 | 100百万円 | |
支給時期 | 毎月 | 年1回(定時株主総会翌日) | 年1回(定時株主総会翌日) |
方針 | 役職毎に基準額を設定 | 下記指標に基づきテーブル表より算出 ①事業利益額 ②安全・品質KPI評価 |
左記事業利益で算出した額の50%を 株式報酬として付与 |
プロセス | ①上記の方針により報酬案を策定 ②任意に設定する役員報酬案策定会議(取締役社長および独立社外取締役2名)にて、上記①の報酬案について審議 <審議内容> ・決定方針との整合性、見直しの必要性 ・指標実績評価の確認 ・役職ごとの報酬水準(外部調査機関による役員報酬調査データにて当社と規模等が類似する企業との比較) ③取締役会での決議(取締役社長に一任)により役員報酬案策定会議の審議結果に基づき、取締役社長が決定 ④取締役会での決議により、株式報酬の割当て(株式数)を決定 |
各監査役の報酬額は、監査役の協議により決定しています。
役員報酬等の総額(2023年度)
区 分 | 報酬等の総額 | 報酬等の種類別の総額 | 支給人数 | ||
---|---|---|---|---|---|
固定報酬 | 業績連動報酬 | ||||
賞与 | 株式報酬 | ||||
取締役(うち社外取締役) | 269百万円(44百万円) | 182百万円(36百万円) | 71百万円(8百万円) | 16百万円(-百万円) | 7名(4名) |
監査役(うち社外監査役) | 98百万円(21百万円) | 98百万円(21百万円) | -百万円(-百万円) | -百万円(-百万円) | 5名(2名) |
合 計 | 368百万円 | 280百万円 | 71百万円 | 16百万円 | 12名 |
(注)
1.2023年6月22日開催の第123回定時株主総会終結の時をもって退任いたしました2名の在任中の報酬等につきましては、支給人数とともに含めて記載しております。
2.上記の賞与の額には、当期中に役員賞与として費用処理した下記の金額を含んでおります。
取締役 3名 71百万円
3.上記の株式報酬の額は、事後交付型の株式報酬として付与する譲渡制限付株式に係る当期中の費用計上額であります。
役員報酬案策定会議
当社は、任意の委員会として代表取締役社長及び独立社外取締役で構成する「役員報酬案策定会議」を設置し、取締役の報酬に関する検討の客観性を高めております。
役員報酬案策定会議では、外部調査機関データを参考に当社の報酬水準を確認し、
①23年度月額および、22年度業績を反映した賞与支給案
②次年度以降の報酬制度について見直しの方向性
を提案し、その内容について協議/審議しております。
取締役会の実効性評価
(1)方法
当社では、年に1回、取締役及び監査役を対象に「取締役会の実効性についての調査」(書面アンケートによる自己評価)を実施しております。この調査において、取締役会での審議の内容、運営方法について適切かを評価し、それら取締役・監査役の評価で改善すべき事項があれば、適宜見直しをしております。
また、2024年から他社比較により当社の状況・課題を客観的に把握・評価できるよう外部機関によるアンケート評価を実施しました。
(2)2023年度評価の概要
アンケートの回答からは、概ね肯定的な評価が得られており、取締役会全体の実効性については確保されていると認識しております。
前回実施した実効性評価では、人的資本や無形資産についての議論の充実について課題が共有されたところですが、以降、社外役員も出席する企業価値向上委員会において事業戦略と紐づけた人財ポートフォリオ戦略や無形資産への投資をテーマに取り上げた結果、議論が着実に進みつつあると認識しております。
一方で、今回の実効性評価では、役員トレーニングや経営戦略、資本効率についての議論の充実についての意見が出され、取締役会の機能の更なる向上に向けた課題として共有しました。
今後、役員トレーニングの実施内容の見直しや経営戦略、資本コストの議論の充実をはじめ、取締役会の機能を高める取組みを継続的に進めてまいります。
政策保有株式
当社は、政策保有株式として保有する上場株式について、その保有に関する方針及び議決権行使の基準を策定しておりますので、以下に示します。また、政策保有株式毎に保有目的の適切性や経済合理性について毎年取締役会において検証いたします。具体的には、当該株式の保有によって得られる便益や発行会社のROEが当社の資本コスト等に見合っているかを判定した上で、保有の適否を検証いたします。
なお、当事業年度において、出資先企業との対話を通じて十分な理解を得た上で、上場株式33銘柄のうち20銘柄の全株を売却をしました。
また、議決権行使の基準に則り、適時対応してまいります。
(1)政策保有に関する方針
政策保有株式は、取引先との長期的・安定的な関係の維持・強化等を目的とし、中長期的な企業価値向上の観点から保有する。かかる保有目的に沿わなくなった、あるいは保有に伴う便益、リスクが資本コスト等に見合っていないと判断した銘柄については、縮減を検討する。
(2)政策保有株式に係る議決権行使の基準
当社は、当該企業が反社会的行為を行っておらず、かつ株主還元が社会一般と比較して著しく不相当と認められる等、株主利益を軽視していない限り、基本的に企業経営者による経営判断を尊重する。企業又は企業経営者による不祥事及び反社会的行為が発生した場合には、コーポレートガバナンス上、重大な問題が発生しているとみなし、コーポレートガバナンスの改善に資する内容で議決権を行使する。